疲れたー、と私の部屋に来るなり音也は私のベッドにダイブした。私は淹れておいたミルクティをテーブルに置いてベッドにダイブしてそのまま動かない音也の隣に腰掛けた。ぎしっとベッドが音を立てて、その音に反応して音也は寝返りを打った。


「んー、撮影撮影撮影の連続で俺もう動けない・・・」

「音也、ミルクティ淹れたよ?飲もうよ」


彼は唸るばかりで全然起き上がろうとしてくれない。私が体のあちらこちらをつついても反応無し。くすぐってもいつもなら飛び起きるのに全然くすぐったがらない。・・・相当疲れているようだ。私はあきらめて、自分だけでも冷める前にミルクティを飲もうとベッドから立ち上がった。と、音也が私の服の袖を引っ張る。私が振り返ると彼は唸るばかりで反応してくれない。私はもう一度テーブルの方へと向かおうとすると今度は先ほどよりも強く私の袖を引っ張った。その手は私の腕に伸びてきて、私は体勢を崩してベッドへと倒れこんだ。すると彼は満足そうに笑ってぎゅっと抱きしめてきた。―そういうことか。


「音也ー、ミルクティ」

「んーもう少しだけこのままー」


そう言って彼は私を腕に閉じ込めたまま目を閉じた。私は仕方ないなあと思いつつも淹れておいたミルクティが気にかかった。しかし、テーブルの方を見ようにも体勢を変えることも出来ない。私は仕方なく音也の腕の中に閉じ込められたままじっとすることにした。









数分じっとそのまま過ごしていたが、ついに音也の方から寝息のようなものが聞こえてきた。よほど疲れていたのだろう。腕の力もゆるくなってきている。この隙に腕から脱出してとりあえずミルクティを飲んで、片付けをしようと思い私が少し動くと寝ているはずの音也の腕が動いてぎゅっと私をさらに強く抱きしめた。「ん・・・・・・」彼はそう呟いて再び私を腕の中に閉じ込めた。もうきっと今日はこのままずっと彼の腕の中から出られないのだろう。私は一瞬だけテーブルに並んでいるティーカップを視界に入れてから、そっと目を閉じて呟いた。


「ミルクティ、冷めちゃうよ」


ミルクティで休憩



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120308