何を思ったのか私は告白をしていて、会長は顔に?マークを浮かべていた。
私は、慌てて言葉を撤回しようとした。けれど、会長はもう何かを考え込んでしまう体勢に入ってしまった。


「あの・・・いや、あの・・・忘れてください」

「いや、そうもいかないだろう」

「や、ほんと・・・間違って言っちゃって・・・」

「間違い?では、私のことを好きだという事実は間違いだということかな?」

「いや、そうではなくて・・・」


先ほどまでまったりと空を二人で眺めていたのに、今では空なんてまるで無視。
会長は私の目をじっと見つめてきた。さすがにそのまっすぐな瞳で直視されると
きついものがあります・・・。


私は目を逸らしつつ、窓の外へと目を移した。
ああもう、早く家に帰りたい。にしても・・・



私はなんてことをしてしまったのだろう。








と、会長が私の名前を呼ぶ。心臓が跳ね上がる音がした。
私は裏返りそうな声で返事をする。


すると会長はきょとん、とした顔つきで私に尋ねてきた。



「君が先ほど言った「好き」はloveの方かね?それともlikeの方かね?」


「へ?」


「それによって私の返事も変わってくるのだよ」


会長は「さあどっち?」と促すような目つきで私を見た。
私は目が回りそうになるのを必死で堪え俯きながらつぶやいた。




「・・・loveです・・・」



なんでこんなことを口に出さなければならないのだろうか。
私は恥ずかしくて顔を上げることが出来なかった。


絶対一筋縄でいかないことはわかっていたけれど、
まさかこんなにも恥ずかしい思いをするとは・・・。




「うむ・・・そうか」


そういって会長は再び考え始めた。
私はこの場から逃げ出してしまいたくて思わず机の方へ戻って荷物をまとめ始めた。
かっこ悪い、泣きそう。今瞬きしたら絶対泣いてしまう。私はぐっとそれを堪えて
荷物をまとめブレザーに袖を通し教室のドアの方へと早足で向かった。



「待て!



その声が私の足をぴたりと止めた。
私は振り返らずにドアに手をかけたまま返事をした。


もう、何も言わないでくれ・・・

早く家に帰って私は泣きたいんだ!

こんな大失態をおかして・・・恥ずかしくてしょうがないんだ・・・

私がドアにかけた手の力を強めぐっと口を噤んだ。
早く、次の言葉を言ってくれ。







「まずは交換日記から始めないか?」









「・・・・え?」






振り返るつもりはなかったが、思いもよらない返答に私は変な声を漏らしながら振り返ってしまった。







窓の外ではサッカー部のホイッスルの音が試合終了を告げていた。






まさか告白しちゃうなんて!





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120124