交換日記・・・?

想定外のその単語を耳にして私は固まった。



「えっと・・・」

私が何も答えられずにいると彼は私の目をじっと見ながら口を開いた。

「まずは交換日記をしてお互いのことをよく知ろうではないか。私と君では生徒会長と書記という立場でしか交流を持っていない。それなのにいきなり、恋人関係を持つということは不可能に近い・・・分かるな?」

「は、はい・・・」

なんだか分からないけれど、とりあえず頷く。すると彼は机に置いてあるノートを取り、それを私に差し出してきた。それは、表紙にも何も書かれていなくて、まさに新品同様であった。私はそれを見て思わず息を飲んだ。


「これに、君の事を書いてくれ。そして明日、それを私に回してくれ。そしたら私も自分のことを書いていこう」

「は、はい・・・」

私はおそるおそるそれを受け取ってカバンにしまった。
何なんだろう・・・どうすればいいのだろう・・・私は思考回路をフルで回転させてみるものの自分の欲している答えを見つけることは出来なかった。


















家に帰ってそのノートを開いた。が、交換日記を今までしたことがないからか、何を書いたらいいのかわからない。私はペンを持ったままそれを動かすことが出来なかった。

どうしよう、何を書いたら・・・。

とりあえず、日付を書いてみた。そして名前を・・・。なんてやっていると普段のノートをとっているみたいな感覚に陥ってしまった。・・・違う、そうじゃない。「日記」なのだ。きっと、今日あったこととかを書いていくものなのだ。

今日、あったこと・・・。

とりあえず、私は自分の気持ちを正直に書くことにした。思わず告白してしまったこと、この展開に驚いていること、とにかく全部を文字にすることにした。

書き終えるとそれはとても恥ずかしいもので読み返すのもいやになってしまって、途中まで読み返してノートを閉じた。こんなに恥ずかしいものだったんだ。でも、これが明日彼に渡って、彼も何かを書いてくれる。そう思うとなんだか胸がドキドキする。私は窓の外に目をやって、ぼんやりと彼の姿を思い浮かべた。


―早く、明日にならないかな。



まさか交換日記をしちゃうなんて!




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120317