空を見上げながら楽しそうに話す彼にちょっぴり嫉妬した。
空になったら彼の視線を独り占めできちゃうのかな?
なんて子供みたいな発想に我ながら驚いた。
そんなことを考えちゃったよ、って彼に話したら彼は笑って私の頭をくしゃりと撫でた。
「も案外可愛いことを考えるのだな」
なんだか馬鹿にされているような感じがして私は頭に置かれたままの彼の手を跳ね除け、スタスタと先を歩いた。ちょっとは大事にされてるなって思ってくれると思ったのに。空よりも君が大事だ、とか言ってくれるかなってちょっとだけ、ほんのちょっとだけ期待したのに!
後ろから彼が私の名前を呼ぶ声が聞こえる。私はそれをつーんと無視して前へ進んだ。
謝ってくれたって戻れない。こんな子供みたいなこと言って勝手に怒っている自分がすごく恥ずかしく感じ、じわじわとこみ上げてきた。もう後戻りはできない。
「!」
私の行く手を後ろから阻止されたかと思うとすでに私は彼の腕の中にいた。
私はじたばたしてその腕を振りほどこうとする。ああ、なんて大人気ないんだ。
「はーなーしーてー!」
「いや、離さないぞ。こっちを向きなさい、」
「やーだー!」
「いいから、こっちを向くんだ」
そういって彼は強引に私の額を自分のほうへ向けさせた。
私は思いっきり目を逸らし、彼の目を見ることを拒んだ。
「」
「・・・」
私の顔が面白かったのか、彼は思いっきり噴出した。笑いがどんどん大きくなっていく。
私がそんな彼を睨むと、彼はふっと笑って私の頭をくしゃりと撫でた。
「君のような人に出会えて、私は幸せだよ」
・・・私が聞きたかったのはその言葉じゃない。
でも、ちょっぴり嬉しかった。
空と私と貴方と私
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020120