届かない片想いなんてしたって苦しいだけ。


そんなの私だって解っていた。恋って別にしようと思ってするものじゃないし、そんなこと、私だって解っている。だけど、好きになっちゃったんだからしょうがないんだよ。そう、しょうがないんだ。どうしようもないし、もどかしいし、もやもやする。でもそれが恋なんだ。それを避けて恋なんてきっとできない。こんな痛み、きっと誰だって同じ。

?元気ないね、」
「え、そんなことないよ」

私の隣に座った貴方は私のこの気持ちを知らずに声をかけてくる。その声が私に痛みを与える。ちくりちくり。もうこんな痛み味わいたくないのに、離れたいのに、逃げたいのに、身体は動いてくれない。まだどこかで期待しているから。もしかしたら、その可能性に私は賭けているから。

「そんなことある。元気ない」
「ほんとに普通だってば」

顔を覗き込む貴方の視線につかまるとなんだか感情が全部外に出てしまいそうで、思わず目を逸らした。
少し不機嫌そうに貴方は唸った。その声がまた私に痛みを与える。

「じゃあなんで目を見てくれないの?」

貴方の大きな手のひらが私の腕をしっかりと掴む。痛い。私は先ほど以上に目を逸らした。そして首を横に振った。

「・・・言えない」
「え?」
「理由なんて言えるわけないでしょう」

そう言った私の声が震えていた。精一杯、感情を押し殺したつもりだったのに。逸らした目が熱くなるのも感じた。もう、我慢できない。どうしてこんなに苦しいのだろう。

「・・・

ぽつりと私の名前を呟いて私の手を離した貴方。私は小さく頷いて立ち上がり、部屋を出た。ああまたやってしまった。こんな中途半端な伝え方じゃ何も伝わらないことは今までで経験してきてわかっているはずなのに。学習能力ゼロじゃないか。笑えてくる。ゆっくりと歩いているせいか、廊下はいつもよりも長く感じた。そしてぼんやりとした視界には夕日の光が私を嗤うように差し込んでいた。ああもう、ほんとうに私って馬鹿。


い廊下



「こんな恋、やめちゃえば楽なのに」
(誰もいない廊下で私は、思い切り吐き棄てた。)



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120103